「光れ、夢を追え」
「……蘭ちゃん……」

「ごめんね。美里さん……こんな暗い話をして。時間だから、私はそろそろ帰るね」

読んでいた本を鞄に入れた蘭ちゃんは、立ち上がる。

「待って、蘭ちゃん……話してくれて、ありがとう。私で良ければ、また話聞くから……また話してね」

私がそう伝えると、蘭ちゃんは嬉しそうに笑った。



その日の夜。

「う~ん……蘭ちゃんのために、何か出来ること……」

腕を組んで、椅子の背もたれに背中を預けて、天井を眺めながら、リビングで私は思案する。

「……お姉ちゃん、どうしたの?」

たまたまリビングに入ってきた私の弟である明人(あきと)の声が聞こえてきて、私は明人の方を見た。

「明人~!」

明人に簡単に悩んでることを伝えると、明人は一言「小説書いたら?」と言う。

「お姉ちゃん、小説書けるじゃん。それにさ、お姉ちゃんが思ってることを全部書けばいいんじゃない?」

「それだ!天才か?早速取り掛かる!」

「え?ちょっと……」

私はすぐにリビングを出て、自室に戻るとプロットを書き留めてあるノートを広げる。

……先に、タイトルが思い付いたぞ。タイトルは――。

『光れ、夢を追え』

私の想いが、蘭ちゃんに届きますように。
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