乞い果てて君と ~愛は、つらぬく主義につき。Ⅲ~
ひとつひとつホイルに包んで、ママが持たせてくれた炊き込みご飯のおにぎりやロールサンドをタッパーごとテーブルに並べたら、食器まで用意された手ぶらバーベキューが始まる。

炭を起こす真は、右手が杖で塞がることが多いから、いつの間にか両利き。器用なトコも似ますよーに。お腹を撫でておまじない。

「宮子は座ってていいからね」

下ごしらえを買って出る紗江、事務所のバーベキューで手慣れた榊。自分はすっかりお客さん扱いでみんなを眺めてる。

「紗江、肉ちょうだい」
「ちょっと待って野菜は?」
「・・・串にしねぇのかよ」

やっぱり真が真ん中にいて、周りにあたし達。大人になって変わるモノ、・・・変わんないモノ。

あたしは極道の娘だし、世の中にはカタギを平気で巻き込むクズもいるし、旅行もドライブも遊園地も、紗江と一緒に行きたくても誘えなかった。

それでも冗談でも、文句なんか言ったことない親友のおかげで叶った今日は絶対、一生の宝物。勝手に顔がほころんだ。

「とりあえず乾杯しよっか」

みんなはノンアルのビール缶、あたしはあったかいミネストローネ入りのスープボトルを手に。

「紗江のマイホームデビューと、俊哉のワガママと、オレにリンをくれた宮子に乾パーイ!」

「なによ、それ」って、呆れながら紗江は笑った。涼しい顔で真が笑った。榊は口をあきかけたけど、黙って缶を煽った。

あたしはなんだか泣きそうになって。
思いっきり空気を吸い込んだ。胸いっぱい。
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