乞い果てて君と ~愛は、つらぬく主義につき。Ⅲ~
「しっかり治せ。お嬢を任せられるのは他にいねぇだろう。お前が戻るまでこの俺が代わりだ、・・・安心したかい」
「はい・・・」
まるでそう言われるのを待ってたみたいに、榊は瞼を閉じ、眠りに落ちた。
あたし達も病室を引き上げ、哲っちゃんの話だと退院は榊の回復力次第。弾キズでどんな後遺症が出るのかも経過次第。
それでもいなくなって置いてかれるより数億倍もマシ。たとえ首だけになったって、榊が榊でいてくれればいいの、あたしは。
実家に着くと、出迎えてくれたおばあちゃんがあたしの手を握り「真さんも榊も運の強い子ですからね」と、眼差しを和らげた。
夕飯には臼井家と遊佐家がそろって、お赤飯と尾頭付きの鯛が食卓に並んだ。事務所に詰めてた葛西さん達にもお赤飯のおにぎりを振る舞い、息苦しい緊張感が久しぶりに解けた夜。
もちろん、襲撃に繋がった火種を残らず踏み消せたわけじゃない。真の脚のことを差し引いても、これからは気兼ねなく出かけたり、近場の旅行すら難しいのは承知してる。
亞莉栖でユキちゃんとお喋りできて、ときどき紗江と女子会して、ときどき相澤さんちに織江さんや、かわいいお姫様たちの顔見にお邪魔して。
それだけでも叶えば十分。
自分に言い聞かせる。真がそばにいて、仁兄や哲っちゃんがいて、榊がいて。あたしにとっての当たり前が続くだけで十分よ。心の底から。
「はい・・・」
まるでそう言われるのを待ってたみたいに、榊は瞼を閉じ、眠りに落ちた。
あたし達も病室を引き上げ、哲っちゃんの話だと退院は榊の回復力次第。弾キズでどんな後遺症が出るのかも経過次第。
それでもいなくなって置いてかれるより数億倍もマシ。たとえ首だけになったって、榊が榊でいてくれればいいの、あたしは。
実家に着くと、出迎えてくれたおばあちゃんがあたしの手を握り「真さんも榊も運の強い子ですからね」と、眼差しを和らげた。
夕飯には臼井家と遊佐家がそろって、お赤飯と尾頭付きの鯛が食卓に並んだ。事務所に詰めてた葛西さん達にもお赤飯のおにぎりを振る舞い、息苦しい緊張感が久しぶりに解けた夜。
もちろん、襲撃に繋がった火種を残らず踏み消せたわけじゃない。真の脚のことを差し引いても、これからは気兼ねなく出かけたり、近場の旅行すら難しいのは承知してる。
亞莉栖でユキちゃんとお喋りできて、ときどき紗江と女子会して、ときどき相澤さんちに織江さんや、かわいいお姫様たちの顔見にお邪魔して。
それだけでも叶えば十分。
自分に言い聞かせる。真がそばにいて、仁兄や哲っちゃんがいて、榊がいて。あたしにとっての当たり前が続くだけで十分よ。心の底から。