ライバル企業の御曹司が夫に立候補してきます~全力拒否するはずが、一途な溺愛に陥落しました~
しかし、車はやがて私の家がある方とは反対方向に曲がった。なんとなくいやな予感がしつつも黙っていたら、車が入っていったのは見知らぬ高層マンションの地下駐車場だった。
……どういうつもり?
「あの……ここは?」
「俺のマンション」
「えぇっ!?」
助手席で明らかにうろたえる私に気づいているはずなのに、瀬戸山からは返事がない。
彼は終始涼しい顔をして、駐車場の枠内に車を止めた。
エンジン音がやんで静かになった車内で、カチッとシートベルトを外した彼がようやく私を見る。
外はまだ明るい時間だが、地下駐車場に止めた車の中は薄暗い。それでも強い光を放つ瀬戸山の瞳にとらえられ、私はなにも言えずに彼を見つめ返した。
もうデートは終わりだから、と自分に言い聞かせることでなだめていた鼓動が、徐々に激しく脈打ち始める。
「瀬戸山さん……?」
「家に送る前に、苑香の気持ちを確認したい。きみは今日ずっと、俺が簡単に踏み込めないようずっと見えないバリアを張り巡らせていただろう。やっぱり俺には興味が持てず、近づかれるのが迷惑だったか? それなら謝るし、このままきみのマンションに送っていく」
――そうです。迷惑でした。きっぱり言えばすべてが終わる。
頭ではわかっているのに、瀬戸山の強い眼差しに射貫かれていると、胸が熱くなって言葉に詰まってしまう。