唯都くんは『運命の番』を溺愛したい


 その時、ブオーンという車のアクセル音が耳に飛び込んできた。

 重くて派手な音。

 だんだん大きくなり、私は視線を反対の窓の外に映す。


 黒っぽいワンボックスカーが、猛スピードで近づいてくる。

 肩が飛び跳ねたのは、キキ―と急ブレーキのような音が響いたから。



 ドリフトって言うのかな? 

 車が半回転して。

 横に倒れそうになって。

 心配になるほど傾いた車体は何かに引っ張られたように起き上がり、反動で車が横揺れを続けている。

 

 車が完全に静止。

 後部のスライドドアが開く。

 出てきたのは背の高い二人組で。

 一人はボンネットに手をつきジャンプ。

 ひょいと体を傾け車の屋根に着地。

 
 「くっそ、バイクの方が早かったか」

 と、屋根の上で仁王立ち。



 もう一人はボンネットに背をあずけ


 「唯都はスタントアクションも得意ですからね」


 こぶしをあごに当て、クスクス陽気に笑いだした。

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