唯都くんは『運命の番』を溺愛したい

 でも……

 冷酷無慈悲の魔王様のような怒気をまとって、男に日本刀を突きつけているし。


 
 独璃くんは私の手首を解放すると、なぜか泣きそうな表情になった。



 「あっちゃんが……あっ、僕たちの幼なじみで……もう死んじゃってて……」



 あまねさんのことだよね?
 
 唯都様が今も愛している女性の話題だと気づき、ズキっと心が痛む。



 「いきなり会えなくなっちゃったの……永遠に……それで僕たちは味わったんだ……大事な人を失う悲しみ……」



 でも独璃くんの方が、私よりも苦しそう。

 心が押しつぶされているかのように、心臓に手を当てうつむいていて。



 「地獄だったよ……どれだけ泣いてもあっちゃんは戻ってこないし……いっそ僕があっちゃんのところに行けば、この苦しみから逃げられるのかなって……それで僕……」




 独璃くんの瞳が、後悔色に染まっている気がする。

< 309 / 369 >

この作品をシェア

pagetop