唯都くんは『運命の番』を溺愛したい


 「琉乃ちゃんだけが、俺を王子様にしてくれるんだよ」


 「私、そんなつもりは……」


 「琉乃ちゃんといるとなりたい自分になれる。一人の女性を深く愛する王子様でいられるんだ。運命の番に出会えたからこそ手に入れた幸せなんだよ」



 求愛サインのように、唯都様は私の額に自分の額をピタリ。

 優しくこすり合わせ、私の高熱を奪っていく。



 「でもそれは……私がオメガだからであって……」



 運命の番になれないアルファやベータだったら、私は選ばれなかったということですよね?



 幸せの波が引き、こみあげてきた虚しさ。

 千の針が心に刺さり、心臓が締めつけられた。



 神楽琉乃本人を、ちゃんと見てもらえていない気がして。

 そのままの私じゃいつか捨てられる、そういった危機感に襲われて。

 悲しみが拭い去れない。

 眉根も目じりも下がってしまう。



 私の瞳の陰りに気がついたんだろう。

 驚いたように目を見開いた唯都様が、私の頭を優しく撫でた。
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