ほんの少し思い浮かべただけの未来

 だけどね、リョウタ……私はうれしかったんだよ。プロポーズしてくれてありがとう。

「ごめんねえ」

「もういいって。俺も新天地でがんばらないといけないし、実際はそれどころじゃないと思う」

「それでもごめんねえぇ」

「わかったから、もう泣き止めって」

 リョウタは追加のペーパーナプキンを次々と寄越してきた。

 涙で滲んで、もう見ることはできなくなっていた。

 あれは、ほんの束の間の……泡沫(うたかた)の夢だったのだ。

 それでも、その中で私はたしかにしあわせだった。


END
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