玉響の花雫    壱
筒井さんは全然余裕でランニングに
行くのに、私も体づくりしないと 
ダメな気がしてしまう。
総務課と違って受付は立つか座るか
だから運動不足な気がするし、わたしも
鍛えないと‥‥‥。


ベッドの上で足を伸ばしたり
ストレッチをしてから今度は
ゆっくり足を床におろすと、
ぎこちなさは残るけど歩けたので、
洗顔をしたあと着替えて簡単な
朝ごはんを作ることにした。


ガチャガチャ


「筒井さん‥おかえりなさい。」


『ただいま。
 フッ‥‥おかえりなさい‥か。
 いいな、それ。』


「あっ‥‥‥え、えっと‥すみません。
 筒井さんの家なのにその‥‥。」


自然と出てしまった言葉に、
自分の家でもないのに、恥ずかしくて
俯く。


『いや‥‥いい言葉だと思った
 だけだよ。シャワー浴びてくる。』


筒井さん‥‥


どこか寂しそうな表情で笑うと、
私の頬に手を触れさせ撫でると
ミネラルウォーターを飲み干し
浴室に行ってしまった。


帰宅してから掃除を軽くすると、
旅行用の服や仕事用の秋服も何着か
欲しかったので、買い物に出掛ける
ことにしたのだ


蓮見さんは雪はまだ降らないけど、
標高が高いから朝晩は勿論だけど
昼間も寒い日があるからって
言ってたよね‥‥


冬物もついでに見ようかな。
あとは別荘で筒井さんと一緒に
星空を見ながらまたチョコレートを
食べたいからパティスリーにも
寄らないと。


またこんなに買い込んだ私を見たら
学習能力がないなんて叱られそうだ。


でも、自分で働いたお金で
好きなものを購入できる時間が
1番楽しいし、また欲しいものや
行きたい場所の為に働くから
こういう時間の使い方はいいと
思えている。


『制服とても素敵ですね?』


春夏用のネイビーのワンピースタイプの
制服も好きだけど、冬用はまた全く
違ってこれも素敵なデザインだ。


首にスカーフを巻くのは同じだけど、
冬用はパンツスーツで生地がウールと
ツイードが混ざったような品のある
生地でとても大人っぽい


『井崎さんって背が高いから
 パンツスーツも似合うよね?
 足が長くて羨ましいよ。』


「そうですか?ありがとうございます。
 佐藤さんは美人なのでなんでも
 お似合いです。」


165cmの私に対し小さめの佐藤さん
だけど、可愛らしくて女性らしくて
何より品もあるから羨ましい


ヒールを履くと170cm近くに
なるから可愛げがない背丈は
それこそ悩ましいのだ。


筒井さんが180センチ以上は余裕で
あるからありがたいけど、
なるべく普段はヒールは履かないように
している。
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