玉響の花雫    壱
最後まで困らせてるって頭では
分かってるのに、好き過ぎて心が壊れてしまいそうだ‥‥‥


『‥離れられなくなってるのはお前じゃ
 なくて俺だな‥‥。お前を置いて
 行くのが堪らなく心配で仕方ない。』


「だったら‥離さないでくださ‥ンッ‥」



筒井さんが私の首に手を添えて
引き寄せると、唇が深く塞がれた。


ゆっくり確かめるように触れては
角度を変えて触れ、見つめ合えば
また引き寄せられるかのようにキスを
繰り返した。




『‥‥‥抱きたい。』


室内の明かりを消すと、そこが
月と星の明かりに照らされ、
ベッドに運ばれると筒井さんの
背後に美しい星空が見えた


真上から見下ろされ、
筒井さんの綺麗な顔に手を伸ばすと、
私の手に唇を落とし優しい顔で笑った


『フッ‥‥』


また鼻を摘まれるかと思ったら、
近づいて来た唇が鼻先にキスを落とし
もう一度唇に落とした深いキスに
溺れていくだけだった。


「ンッ‥‥クチュ‥‥チュ‥」


筒井さんの肌と私の肌の体温が
心地よくて‥温かくて、少しでも離れると寂しくて堪らない‥‥。


「アッ‥‥‥ッ‥‥ンンッ」


筒井さんが胸に触れる手や舌に
体をよじらせ、胸を両手で
鷲掴みされて責められれば、心も体も
筒井さんでいっぱいに染まってゆく‥


手の先から足の先まで、一つひとつを確かめるように触れる筒井さんは、ずっと
手を繋いでいてくれた‥‥。


『霞』

‥‥‥えっ?


息が上がって体に既に力が入らない私を
見つめながら呼ばれた名前に
嬉しくてまた涙が溢れ出す‥‥


『霞‥‥‥』


繋がっている間も何度も
耳元で私の名前をそう呼んでくれ、
涙が止まらない私を優しく
何度も何度も抱いてくれた気がする


筒井さんと美しい星空に
抱いてもらえてるような幸せを今だけは
感じていたい‥‥‥。


待っていろとも言われてない‥‥。
いつ帰ってくるかも分からない。
それでも‥‥きっとまた会えたら
私はあなたにもう一度恋をすると思う


先のことなんて誰にも分からないし、
明日の不安を考えていたらずっと
前にも進めない‥‥


明日は明日の風がきっと吹くように、
今はただ‥筒井さんに包まれて、
あなただけを感じたいとそう思えた。 




『寒くないか?』


「‥はい‥‥眠いです。」


激しい行為にぐったりして立てない
私を抱き上げたままお風呂に連れて
行くと、恥ずかしいからと断ったのに
一緒に入ることになってしまった

お風呂を出てからも眠かったけど、
ベッドで筒井さんに後ろから抱きしめ
られながら、私が持って来た
チョコレートを食べることにしたのだ


星空を2人で見ながらそう
したかったので、天井を眺めながら
温もりに包まれた‥‥。



『お前はきっと‥
 ずっとこのままなんだろうな‥』
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