玉響の花雫    壱
「‥そんなの‥分かりませんよ?
 筒井さんには永遠に追い付けませんが
 それなりに今よりはいい大人になる
 予定です。」


こんな素敵な人に追いつける日なんて、
絶対に訪れないとは思う‥‥。


私が出来る事は、自分の気持ちを
大切に、私らしくあなたを想い続ける
ことくらいだ‥‥‥


『フッ‥‥‥それは楽しみだな‥‥‥
 でも、お前のいいところは素直で
 優しいところだろう?
 それを忘れるなよ?』


「えっ?‥ンッ‥‥筒井さ‥‥
 待って‥‥‥アッ‥嘘‥‥」


服の裾から滑り込んで来た手が、
私の胸を掴み指が先端に触れると、
首筋を舌が這いビクッと体が震える


『‥‥‥いい子。
 素直なお前をもう一度見たい‥‥。』


「ッ‥‥」



顔が一気に熱くなりつつも、
お構いなしにもう一度ベッドに
倒され深いキスを落とされる。


ほろ苦いチョコレート味のキスと、
白ワインの香りが混じり、私達は
もう一度肌を重ねていく。


待ってろって言ってくれないのに、
楽しみにはしてくれるんだ‥‥
それだけで喜ぶなんて
‥‥バカだなって思う。


私も連れて行って?
本当は離れたくないなんて、今の私には
言えない‥‥‥。


まだ1人で何も解決すら出来ないのに、
筒井さんの隣に堂々と立てないからだ。



「筒井さ‥‥‥アッ‥待って‥」


『待たない‥‥もっと乱れたお前を
 見てみたい‥‥』


「ッ!!ヤッ‥‥」


さっき沢山肌を重ねたのに、
また筒井さんの与える熱に溺れ、
激しい律動に頭の芯まで震えた。


この時間を忘れられない程に‥‥
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