玉響の花雫    壱
細瑾(さいきん)
「改めて本配属により総務課にお世話になります井崎 霞です。よろしくお願いします。」


パチパチと総務課の人達から拍手を頂くと、奥の席にいた蓮見課長がウィンクをしてくれた。


山崎さんが今月の15日で産休に入られるので、それまでは受付と総務課での仕事をして、16日以降は受付に佐藤さんと入る予定でいる。


まだまだ聞きたいことや学びたい事が山崎さんからは多いので、安心して産休に入っていただけるように頑張らないと‥‥。


『井崎さんはあと少しで受付に行ってしまうからデスクはないの。だから今まで通り私の隣でヘルプを頼めるかな?』


「勿論です。古平さん、よろしくお願いします。」


GW開けは忙しくて毎日があっという間に過ぎてしまい、人事部も6月に部内の異動や、栄転など
に向けて忙しく、なかなか筒井さんを見かけることが出来なかった。


『霞ちゃんこのデータ間違ってたからすぐ直して?その後会議資料を10部ずつコピーね。』


「はい!すみませんでした。すぐやります!」


蓮見さんは仕事になると厳しく、オフの時とは別人のようだったけど、出来上がるとちゃんと褒めてくれたりフォローをしてくれるので頑張れる


備品の管理も前よりスムーズに行えるようになってきて、インクの交換や補充も言われたらすぐに行えるようになった。


やっぱり仮部署で1月いたのがとても大きい気がする‥‥


中には違う課を希望する人もいるって聞いたけど、この忙しさからのスタートは私には無理な気がした


「経理に補充行ってきます。」

『オッケー。気をつけて。』


席を離れる時は必ず古平さんに声をかけるか、居ない時はデスクトップにメモを残して離れるようにしている。


経理のコピー機用の黒インクを2つ携帯すると、エレベーターホールに向かい↑のボタンを押した。


ポーンという音と共に扉が開くと目の前に乗っていた筒井さんと目が合いお辞儀をしてから乗らせていただいた。


『何階?』

「あ‥10階をお願いします。」

『経理に用事か?同じだな。』


筒井さんも10階なんだ‥‥


分厚いファイルとノートパソコンを抱えているから会議の帰りかな‥‥。


GWぶりに聞けた落ち着いた声に仕事中とはいえ嬉しくなる。


『先に降りて。』

「はい、ありがとうございます。」


またお辞儀をして降りると、筒井さんは急いでいたのかそのまま経理の方へ早足で向かってしまった。

蓮見さんも筒井さんも役職があるから会議も本当に多いし、頼まれる仕事も多くて忙しそう‥


私もやれることを頑張らなくちゃ‥‥


「失礼します。総務からインクの交換に来ました。」


他の部署に行く時も入り口で声かけしてから入るようにしていて、IDを通すとコピー機がある場所に向かった。
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