玉響の花雫 壱

別荘で頂いときも美味しかったから
また食べれるなんて嬉しすぎる


そういえばさっきからいい香りが
してたのにこの家に圧倒され過ぎて
気づくのが遅れた。


『フッ‥‥色気より食い気だな。
　これだからお子様は。』

「いいんです。亮さんのカレーがまた
　食べれるなんて嬉しいですから。」


クスクス笑いながらお皿の準備をして
いる筒井さんを手伝っていると
玄関のインターホンが鳴った。


『おい‥亮が呼んだのか？』

『えっ？
　呼んでないから宅配とかじゃない？』


3人でモニターの画面を覗くと、
そこに写っていた人物に筒井さんは
頭を抱えて溜め息を吐いた。


『井崎さん悪いけど出迎えれる？
　俺、カレーの鍋見てるから。』


「えっ！？私が出ていいんですか？」


筒井さんを見ると出迎える気も
なさそうだったので、仕方なく
玄関まで行き扉を開けた。


『滉一腹減ったーー‥って！！
　なんで霞ちゃんがいるの！？』


いつもこうして3人とも行き来してるのかと思うと面白くて笑えてくる


「蓮見さんこんばんは。
　筒井さんにご飯に誘って
　頂きましたのでお邪魔してます。」


『へぇ‥‥そうなんだ。滉一が？
　ってカレー！？
　やった！！カレーだー！！』


『でかい声出すなよ！煩い！！』


靴を脱いでから喜んでキッチンへ
向かう蓮見さんがまるで子供のようで
面白かったし、またこの3人の
やり取りを見れるのは幸せだ‥‥


『今日はシーフードカレー。
　どうぞお召し上がりください。』


「ありがとうございます！
　すごく美味しそうです‥‥」


みんなでいただきますをしてから
カレーを口にパクッと入れた。


美味しい‥‥

この間の赤ワインとほろほろの牛肉
で作ったのも美味しかったけど、
シーフードカレーもとても美味しい


「亮さんすごく美味しいです。」


『ほんと？良かった。アイツらなんて
　食べ飽きてるのか感想も
　言ってくれないから嬉しいよ。』


本当に2人ともお腹が空いて
たんだろうな‥‥‥。
亮さんがお母さんなら、
この2人は育ち盛りで食べ盛りの
息子なのだと思う。


『おい、人の家で飲むなよ。』

『いいだろ？お前も飲めば。』

『は？誰が送ってくんだよ？
　お前ら2人とも飲みやがって。
　はあ‥‥もう帰れよ。』


洗い物を軽く予洗いすると、
食洗機に入れればいいと筒井さんが
やってくれ、こうしてリビングで
くつろいでいる。


「筒井さん、私電車で帰るから
　大丈夫ですよ。まだ8時ですし。」