交際0日婚でクールな外交官の独占欲が露わになって――激愛にはもう抗えない
「だから――俺との幸せな家庭を、作って欲しい。俺には、映茉が必要なんだ」

 彼の言葉を、じっくりと味わうように彼を見つめた。じっと見つめ合う。その間、祐駕くんは瞬きもせずに、私をずっと見つめていてくれた。

 だから、――私は、彼を信じる。

「うん。私も、祐駕くんと、幸せな家族になりたい」

 泣きそうになりながら告げると、私の唇は祐駕くんに優しく塞がれた。彼の想いが、愛しさが、唇から胸に伝わって、私の中に溢れてゆく。

 口づけが離されると、背に回っている祐駕くんの手に力がこめられた。その腕から伝わる温もりが、これが本物の愛だと伝えてくる。

「良かった、演技じゃなかったんだ……」

 ぽつりとこぼすと、「演技?」と祐駕くんの声が上から降ってくる。

「うん。祐駕くんの愛、感じてたのに――全部、演技だと思ってた」
「演技なんてできるわけないだろう。俺は、嫉妬に駆られて映茉を独占したくなって、痕を残してしまうような……、そういう男だ」
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