闇夜の星
肩を押されて思わず後ろに倒れてしまった。男に力任せに押されるとこんなにも痛いのかと倒れたまま他人事のように考えていた。


「この服弁償しろよ!3万だせ!」


自分でもタチの悪いやつに捕まったと思う。でも手持ちもないしアイツらが出してくれるとは思えない。
何よりこの場で払わない限り許しては貰えない気がする。


「3万わかんねぇのか?だったら財布出せ!俺が数えてやる!」


座り込んでるあたしの胸ぐらを掴んで脅してきた。脅されても魂はどこかに行ってしまって何も答えられない。
通行人は先輩と同じように見て見ぬふり。助けて欲しいとも思わないけどね。このまま殴られるんだろうな·····痛いのは好きではないけどどうしようもない。


「今どきのやつは喋ることも出来ねぇのか!?」


殴るのに慣れているような大きな拳は空高く昇ってあたしへと落ちてこようとしている。反射的に目を閉じると━━パシッ····━━殴られることなく音がして目を開けた。


あたしの前に入り込んでいた男の人は殴りかかってきた相手の拳を手のひらで受け止めていた。


「大丈夫?」


息を切らしながら振り返った人物にまた疑問が浮かんだ。なんでこいつがあたしを助けたのか分からなかった。


「この服、さっきあそこの店でバーゲンしてたけど?学生にたかるほど飢えてんの?」


低い声。こいつこんな声出せたんだ。いつもは媚びてるような声しか出さないくせに。


「ちっ·····もうどうでもいい」


男はあっさりと引いて行った。


「もう大丈夫だよ 」


手を差し出されたけどあたしは自分で立ち上がった。誰かの手なんてあたしには必要ない。
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