闇夜の星
「びっくりだよね
こんな急に降り出すなんてさ」
自分の首に巻いているマフラーを開いてブランケットのようにあたしに巻き付けた。冷え切った体は温かさに動揺している。
「嫌じゃなければ車に乗ってくれない?
暖かくするからさ」
少しの温かさを知ってしまうとこの場所に留まるのは辛く感じた。
困らせるのはわかってたけど頷いてしまった。
立てる?と柔らかく聞いてくる一星に答えようと足に力を入れるとガクンと力が抜けていくのがよくわかった。
寒いから?捻挫したから?もう理由なんて考える余裕もないほど寒さに疲れ切っている。
「ごめんね」
急に謝られたかと思うと宙に浮く感覚があたしを支配した。顔と顔が近い。一星はあたしを抱えて近くのコインパーキングまでやってきた。
黒い車の後ろの扉を開けると優しく乗せてくれた。なんとも便利なものでカーテンが運転席と後部座席の間にできて外からは見えない仕組みらしく外の世界から完全に遮断された気分。
「ちょっとまってて」
そのまま扉を締められると運転席に行ったみたいだ。ドタバタガサガサと音だけが響いてる。
数秒経つと暖かい風が流れ込んできた。····エンジンつけてくれたのか。
前のカーテンが急に開いて驚いてると「門限あったりする?」そんな事を聞かれて首を横に振った。だったらこんな時間にあんな場所にいないだろう。ていうか今何時なんだ。
「じゃあドライブするんでごゆっくり」
夜なのに爽やかな笑顔でカーテンを締められた。「あ、これ」隙間から手が出されたようだけど暗くて見えづらい中に手を伸ばすと暖かいものに触れた。