闇夜の星
一星は車の扉を開けた。
冷たい夜風が車に一気に入り込んできて思わず借りていたブランケットを握りしめた。


「ほらおいで」


一星が手を差し出して外に出るように促した。なぜかその手を握ってしまってあたしは外に出た。

どこかの展望台だろうか。
空がいつもよりも広く見える。


そして、そこには雪が降ったなんて嘘のように星が空を詰め尽くすように光っていた。


「俺もねー·····葉月ちゃんみたいに疲れた時とか覚悟決める時とか星空を見るためにここに来るんだ
結構近くて穴場だしね」


「東京にこんなところあったんだ」



全部騒がしく感じていたからそんな言葉が口から出た。


「うわっ寒
車の中から見よー 」

「なによ、あんたが外に出ろって言ったのに」

「教えたかったんだもん 」

「きも」


自分から出た言葉に思わず反省した。
喋り方が気持ち悪いとはいえあたしのために連れてきてくれた相手にこの返しはさすがにない。
けどこんな奴に謝るのも嫌で謝罪の声がどうしても出なかった。


「よかった
やっぱ毒舌似合うね」

一星は傷ついた様子もなくそういった。嫌いなはずなのに意味わかんない。


「そういや、他に家族とかいないの?」

「両親は死んだ
それに父方の祖父母は早くに亡くなったって聞いてるし、母方の祖母は小学生の頃亡くなって····祖父はあたしの引き取りを拒否したって聞いてる」


おじいちゃんは無口だから優しいはずなのに周りに誤解される人だった。いつもおばあちゃんが間に入ってたっけ。おばあちゃんはおおらかで会う度に愛情溢れた人だと感じていた。

おじいちゃんが引き取りを拒否するのも仕方ない。どうせあたしは嫌われ者だから。


「俺が誘拐しちゃいたい」

「はぁ!?」

「だってこんなに可愛くて、毒舌で、頑張ってて可愛い子をそんな酷い家になんて帰したくないでしょ」


可愛いが多いし、毒舌って悪口でしょ。
車に乗ると一星は窓のカーテンを開けてくれた。空にはまだ星が輝いている。


「葉月ちゃんが望むなら今からさらっちゃうよ?」

「あんた逮捕されるわよ」


無茶な話に呆れた。
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