闇夜の星
「俺に会うの緊張するの?照れるー♡」
なんでこいつがいるのか聞きたい。独り言聞かれてるし。
それにこいつにはきっとわからない。拒否された人に会う気持ちなんて。
「どうせあんたにはわかんないでしょ」
「拒否される気持ちのこと?だったら分かるけど
この仕事柄多すぎるくらいにね」
この時の一星の表情は微笑んでいるのに瞳の奥が暗く感じた。真っ暗で、遠い過去を見つめてるような。
「ごめん⋯」
言葉足らずなあたしはそれしか言えなかった。あの場所から出してくれた時点で本当ならまず『助けてくれてありがとう』そんな気持ちを伝えることが正しいのに。
石のように固まってる“嫌い”という感情は間違っているとわかっていても無くすことは出来ずにいる。
「見てみて」
「反省してるのがバカみたい」
声をかけられて顔を見ると人様には見せられないほどの酷い顔をしていた。笑わせようとしているのがわかって呆れて顔を背けた。
「はい、ジュース」
断れないようにする為なのかあたしの手のひらに缶のりんごジュースを置くと一星の少し大きな手はあたしの手を指先まで包み込んで握りしめさせた。
まるでゆっくりと時間が流れてるみたいでこんな日はあの生活の中で感じたことがなかったから受け取って缶を開けて口に流し込んだ。
甘さが身体中に伝わってきて少し緊張が解けた気がする。
「おはよう」
後ろから突然声がして驚いた。そして緊張がまたあたしの体を固くした。