闇夜の星


「じゃあ気をつけてね」


一星は家まで送ってくれてそのまま帰ろうとした。そんな一星をあたしは引き留めた。


約束したからじゃない。この場から、いなくならないでほしいと思った。


地震からの不安な感情がこうさせてるのはわかってる。だけど“経験”してしまっているあたしはこれ以上の恐怖を知らない。


目の前から、大切な人がいなくなる恐怖。


「どしたの?」


一星は何故かふざけたように聞いてきた。だから、ふざけれないように真面目に頼んだ。



「お願い…、帰らないで…、」


目の前の一星が俳優なんて忘れるくらい顔を真っ赤に染めるものだから思わず目を逸らしてしまった。



------ガチャ------



「お前たち…玄関先で何をやっとるんだ?12月だと言うに。
冷えるから早くなかに入りなさい。無事でよかった。」



何も知らないおじいちゃんはあたしたちの空気など知ったこっちゃないという感じでそのままリビングに通してくれた。



「ほれ、お茶飲みんさい
わしはもう寝るけん、困ったら起こしなさい
今日は一星くんもおるけん安心じゃねぇ」


「ぐっすり寝ちゃってください
俺、朝までいるんで」
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