闇夜の星


旦那も優しくて目尻を下げてそらちゃんを可愛がっとったわぁ


…あの日は夜中やったこともあって亡くなる人がものすごい多かった

助かった人の方が奇跡やと感じるくらい


寝とった時間やっからきゅうーに揺れてね


下から爆発でもしたんかと思うくらいやった

あのころは私も若かったから急いで妊娠しとった嫁に頭とお腹守るように指示して息子に何がなんでも自分が死んでも嫁を守れって言ってねぇ


バカ息子は私の心配なんてするもんだから言ってやったのよ?「自分の大切な人守らん奴に育てた覚えはない!はよ家から出らんか!」ってね、ふふ


あんな状況で家族みんな守るなんて無理やと5分で思ったわ


息子たちと崩れかけとる家から何とか出て当たりみたらみーんな崩れた家から必死に家族を助けようとしとった


隣のトキちゃんの家も周りと一緒で私は息子に嫁を託して急いで声掛け出したんよ


周りの音も余震もあるもんやから全然声が聞こえんくてとにかく必死に叫んだ


そしたら2回目の地震の後かなぁ小さい声で「助けて」って聞こえたんよ

急いで声の聞こえるところから覗いたらそこは布団に包んだそらちゃんを抱えとるトキちゃんが挟まっとった…


「旦那は!?」

「…横に寝とってあたしと宙庇ってくれたんや」


その言葉にもう死んでしまっとるんやと気づいてしまった


「おばちゃん…」


「うん!ちょっと待っとき!すぐ助け呼んでくるけんね!」


女ひとりの力じゃ到底助けられん状況やった、やけど見捨てるなんてできんからな?呼びに行こう思った時よ

「ちゃうちゃう、あたしじゃなくて宙助けて欲しいんよ 」


暗い中で困り顔で笑ってるのが見えたわ


「いいや!旦那が守ったんやトキちゃんも助けるけんな!」



私は絶対に守りたかったんよ



「ありがと……やけどなぁおぉきく揺れた時、旦那に言われたんよ
『絶対に宙守らんとな!』って…
あたしも同じ気持ちやわぁ
おばちゃん、頼むわ」



わたしはもうなんも言えんかった

だってなぁ、私だって母親やったんよねぇ


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