闇夜の星

「通報されたら100%逮捕されちゃう笑
スマホ持ってないんだ?」


失礼かと思ったのに笑い飛ばされると更にどうしていいか分からない。さらっと次の質問をしてくるあたりコミニュケーション能力はかなり高いんだろうな。アイドルだし必須能力ってだけ?


「必要ないし·····」


言い訳を口にしてまた苦しくなる。家にいるあたしの1つ年下の娘、愛花(あいか)は持っているのに。
いつだってそうだから慣れたつもりでいるのにいざ聞かれるとあたしは何も無い、存在しちゃいけないってよくわかってしまう。



「あ、着いたよ」


気がつくと到着したようでニット帽にサングラスという怪しさ全開の格好で後部座席の扉を開けた。


「いやぁ実はここカップル限定のスイーツがあってさー」


その言葉に耳を疑った。馬鹿なの?アイドルがカップル限定のスイーツ食べに来るなんてアイドルに興味のないあたしでもそれは重大な問題ってわかるけど····「心配しなくて平気だから
それに俺はもうアイドルじゃないんだよね
今は俳優、恋愛禁止なわけじゃないから」



だからいいって問題でもないと思うけど····。ていうかもしそれで騒がれたらあたしが迷惑なんですけど。


「スイーツ嫌いだった?このいちごの特大パフェ美味しそうなんだけど」


店のポスターには赤く染ったいちごがでかでかと乗っている。昔はよく食べてたな。


「好きなんだ じゃあ入っちゃお!」

「何も言ってない·····!」


慌てて否定をするあたしを引っ張って強制的に店に入れられた。端の席に座らせられたかと思うと勝手にカップル限定のあの特大パフェをさらっと注文した。


「あんなでかいの····食べ終わらないし」

「食べる気になってくれたんだ
嬉しー笑」


会話が噛み合ってないし。人の話を聞く気あるのかわからん。呆れて聞くのを諦めた。でもこんな店に誰かと来るなんていつぶりだろう。


< 9 / 79 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop