『愛のため、さよならと言おう』- KAKKO(喝火) -
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 早速その週末を待ち、山下とのことを娘たちに相談した。

 前々から編集者の山下とのデートのことは娘や息子たちにはオープンに
話している私は、次の土曜の夜に娘たちに相談という態で改めて山下さんとの 
 これまでの経緯とそこから先日結婚を意識した告白というものが彼から
あったことを掻い摘んで話した。


 そして
『あなたたちの都合に合わせて話を進めていきたいので忌憚のない意見を
聞かせてほしいの』
と百子は娘の茜と息子の淳平2人に意見を求めた。

 家族でいろいろ話合った結果、山下が今すぐに結婚したいというふうなのでも
ないようなのと、形式ばった結婚というものにもこだわりがないと聞いて
いるので百子や子供たちも柔軟に話し合いをすることができた。


 息子は大学生になるので家を出る。
 娘は後2年下宿先からと自宅通学の大学生活が残っている。

 ……なので、結果正式に結婚するのは2年後と決まった。
 それまでは事実婚で週末一緒に山下の家で過ごす。

 2年後娘も家を出て行くのでそれからは新婚さんで仲睦まじく
暮らせばと二人から応援される。

 娘と息子の希望はいつでも帰りたい時に自宅に帰れること、そして
帰った折にはゆっくりと寛げる自分の部屋がほしい、ということだった。

 子供たちと山下との関係は戸籍上は父親になるが、無理に自分たちの父親に
なってもらう必要もないし実際は母親の恋しい男性(こいびと)という
位置づけでいいのではないかというところに着地した。

 百子もそれでいいと思った。

 実際娘や息子たちには本当の父親がいるわけだし。

 そして自然の流れで親子というよりも身近な人物として仲良くなれれば
それでいいのではないかと思った。


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