シャンパンをかけられたら、御曹司の溺愛がはじまりました
 颯⽃のことは好きだ。でも、いきなり結婚まで話が進んでしまうと躊躇してしまう。

(当り前よね? ⼀⽣のことなんだもの)

「なぁ、どうすればいい? どうしたらうなずいてくれる? 百本のバラを贈って、毎⽇愛をささやこうか?」
「その際は、Green Showerにご⽤命ください」
「バカ。恋⼈に贈る花を本⼈に調達させるやつがどこにいるんだ!」

 彼がすがるように聞いてくるから、つい⼀花は茶化してしまった。
 凛々しい眉をひそめ、精悍な顔を曇らせた颯⽃を⾒るのは居たたまれなかったのだ。
 その思いが通じたのか、颯斗はふっと表情をゆるめた。
 口角を上げて、一花の顔を覗き込む。

「……それでも、もう俺は退かない。君を口説き落とすことにしよう」

 にやりと笑った颯斗は彼⼥を膝に乗せて、魅惑的な声でささやいた。
 そして、額にキス、⿐にキス、まぶたにキス。颯⽃はキスの合間に情熱的に⼝説き始める。

「⼀花、好きだ。どれだけ君が俺にとって特別か知ってるか? こんなに⼀緒にいて楽しい⼈はいないし、こんなに愛しくて離したくないと思ったのも初めてだ」
「私にそんな特別なところはないです!」
「特別なところだらけだ。君に連絡が取れなくなって、夜は眠れないし、仕事も手につかなかった。こんなことは初めてだった。あれは本当に堪えた」
「ごめんなさい……」
「いや、それくらい君の影響力は大きいってことだ。いつのまにか一花が俺の世界の中心になっていたんだ」
「もうそれぐらいで勘弁してください」

 その甘ったるい言葉の数々に⼼臓が壊れそうにドキドキして、つい彼の⼝を⼿でふさいで、つぶやいた。

「私はそんなすごい人間じゃないです……」
 
 そして、そう言ってから気づいた。
 決断できない最⼤の理由に。
 平凡な⾃分が颯⽃のようにハイスペックな男性に愛され続ける⾃信がなくて、プロポーズを素直に受け⼊れられなかったのだ。
 颯⽃は彼⼥の⼿を取り、指をからめる。

「こんなに俺を夢中にしといてか? ⾬に降られてもシャンパンをかけられても、笑い⾶ばせる君が好きだ。装花に⼀⽣懸命な君が好きだ。⼤胆なくせに恋愛にはこうして臆病になってしまうところも好きだ。君のすべてが好きなんだ」

 颯⽃は顔のいたるところにキスを落としながら、⽢い⾔葉を降らせ続ける。
 それが⼼に沁みていき、愛しさが募った。
 でも、彼は唇だけには触れてくれず、⼀花はもっと彼を感じたくなってしまう。
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