近付きたいよ、もっと、、、。
「あの……さっくん……」
「ん?」
「その……腕、痛くないの?」
「だから、左なら平気だって」
「いや、そうじゃなくて……腕、疲れないかなって……」
「ああ、腕枕(これ)の事? このくらい別に平気だよ」
「そ、そういうもの?」

 一緒の布団に入り腕枕をされたものの、それでは朔太郎の腕が疲れてしまうのでは無いかと心配して聞いた咲結。

 しかし当の本人は『このくらい何でもない』といった様子だった。

「まあ、咲結がしなくて良いって言うなら止めるけど?」
「!」

 朔太郎的には何ら問題は無いものの、心配してくれている咲結の気持ちを無碍には出来ない、それならどうするかを決めて貰おうと考えた彼は、ニヤリと悪戯っぽい悪い笑みを浮かべながら腕枕を続けるか止めるかを咲結に選ばせるような口ぶりで問い掛けた。

「……そ、それは……」

 勿論、咲結だって腕枕をされたくない訳じゃない。

 強いて言うならば、このままされていたいと思っている。

 ただ、こんな風に異性と同じ布団に入り、身体を密着させている状態でいるだけでも緊張するのに、腕枕までされるととてもじゃないけど眠れそうにないと思い、頭の中で葛藤していた。

 悩む咲結の姿を眺める朔太郎の口元は先程の悪戯っぽい笑みから優しげな笑みへと変わり、

「悪い、そんなに悩ませるつもりは無かったんだ。ってか俺的には『止めないで』って答えを期待してたんだけどなぁ~」

 そんな事を口にしながら咲結を引き寄せて頭を撫でていく。

「さ、さっくん……?」

 そして、朔太郎の行動に戸惑う咲結に、

「咲結が恥ずかしがってんのは分かってるけど、悪いな、俺はこのままこうしてたい。咲結を近くに感じて眠りたいから、このままでいいか?」

 自分の方がこうしていたかった事を告げたのだ。
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