近付きたいよ、もっと、、、。
「咲結……」
両親の理解を得ようと必死に訴え掛けて自分の横で頭を下げた咲結に、朔太郎は自分のせいでこんな事をさせている不甲斐なさを申し訳なく思うと同時に自分がこんな格好をしていなければ、七つも歳が離れていなければと、今更どうにもならない事を恨めしく思う。
二人が頭を下げ続ける中、咲結の両親は目配せした後で、
「――二人とも、顔を上げて座りなさい」
父親の方が二人に向かってそう告げると、咲結と朔太郎は顔を上げてソファーに座り直す。
そして、
「二人の気持ちはよく分かった。真剣な気持ちで交際している事も」
複雑な心境の中、父親は二人の真剣な想いに根負けし、
「二人の想いに免じて交際は認めるが、条件がある」
交際を認める代わりに条件を提示すると口にした。
「門限は二十一時、外泊は認めない、嘘をつく事も許さない、そして、海堂くんは大人だが、咲結はまだ高校生。学生らしく、節度ある交際をしてもらいたい。それが守れるならば、二人の交際に口を出さない。どうだ? 守れるか?」
父親が提示した条件はいくつかあるものの、それは咲結にしても朔太郎にしても当たり前の事だと思っていたようで、二人は顔を見合せて頷くと、
「ありがとうございます、必ず守ります」
「ありがとう、お父さん! きちんと守るから」
それぞれ『ありがとう』と口にした後で、条件を守る事を約束した。
その後、朔太郎は橘家を後にすると、タクシーを呼んで何処かへ向かって行く。
辿り着いた先は繁華街にある、行き付けの美容室。
向かうさなか、急遽電話で予約をしたようだ。
「すいません、突然」
「いえいえ、構いませんよ。だけど、ついこの前いらっしゃったばかりだったので驚きました。それで、今日はどうしましょうか?」
「悪いんだけど、今よりも少し暗めの色に染め直して欲しいんだ」
「え!?」
朔太郎の発言が予想外だったのか、スタイリストは驚きの声を上げる。
それもそのはず。
朔太郎の鮮やかな赤髪は彼のトレードマークそのもの。
朔太郎が赤髪にしたのは高校卒業してすぐの事で、以降色も明るさもずっと変える事は無く、そんな彼が今よりも暗めの色に染めたいというのだから、知っている者からすれば驚くのは至極当然だった。
両親の理解を得ようと必死に訴え掛けて自分の横で頭を下げた咲結に、朔太郎は自分のせいでこんな事をさせている不甲斐なさを申し訳なく思うと同時に自分がこんな格好をしていなければ、七つも歳が離れていなければと、今更どうにもならない事を恨めしく思う。
二人が頭を下げ続ける中、咲結の両親は目配せした後で、
「――二人とも、顔を上げて座りなさい」
父親の方が二人に向かってそう告げると、咲結と朔太郎は顔を上げてソファーに座り直す。
そして、
「二人の気持ちはよく分かった。真剣な気持ちで交際している事も」
複雑な心境の中、父親は二人の真剣な想いに根負けし、
「二人の想いに免じて交際は認めるが、条件がある」
交際を認める代わりに条件を提示すると口にした。
「門限は二十一時、外泊は認めない、嘘をつく事も許さない、そして、海堂くんは大人だが、咲結はまだ高校生。学生らしく、節度ある交際をしてもらいたい。それが守れるならば、二人の交際に口を出さない。どうだ? 守れるか?」
父親が提示した条件はいくつかあるものの、それは咲結にしても朔太郎にしても当たり前の事だと思っていたようで、二人は顔を見合せて頷くと、
「ありがとうございます、必ず守ります」
「ありがとう、お父さん! きちんと守るから」
それぞれ『ありがとう』と口にした後で、条件を守る事を約束した。
その後、朔太郎は橘家を後にすると、タクシーを呼んで何処かへ向かって行く。
辿り着いた先は繁華街にある、行き付けの美容室。
向かうさなか、急遽電話で予約をしたようだ。
「すいません、突然」
「いえいえ、構いませんよ。だけど、ついこの前いらっしゃったばかりだったので驚きました。それで、今日はどうしましょうか?」
「悪いんだけど、今よりも少し暗めの色に染め直して欲しいんだ」
「え!?」
朔太郎の発言が予想外だったのか、スタイリストは驚きの声を上げる。
それもそのはず。
朔太郎の鮮やかな赤髪は彼のトレードマークそのもの。
朔太郎が赤髪にしたのは高校卒業してすぐの事で、以降色も明るさもずっと変える事は無く、そんな彼が今よりも暗めの色に染めたいというのだから、知っている者からすれば驚くのは至極当然だった。