心から願っています
「話もなんとなく会うし、俺の言う事全部受け入れてくれる。」

私はどんどん嬉しくなっていく。先輩がそんなふうに思ってくれているなんて嬉しすぎる。

「あとギャップかな」
え、ギャップ? なんとも私に似合わない言葉が出てきたので私は思わず、へ? と言ってしまった。そして、

「いやそれは先輩です。ていうか、その前のもそのまま先輩に返したいです。」

と早口で言ってしまった。すると、先輩に笑われ、

「そういうところだよ。しっかりしてるのに急に頼りなくなる。はははっ」

と言われた。だったら私も、と思い、

「先輩だって、クールっぽそうなのに、時々大声で笑うし、陸上のこととになると止まらないし。」

と言った。じゃあ、お互い様で、という先輩の一言。

『まもなく2番線を電車が通過します。危ないですので…』

というアナウンスが入った。この電車が行った後に、乗る電車が来る。

通過する電車が音をたてて向かってくる。電車の音以外は何も聞こえなくなっていく。

私は意外とこの電車の通過する、電車が堂々と通過していく時間が好きだ。

そんなことを考えていると、ふと自分の左手に温かい何かが触れた。そしてそれは自分の指に絡んでくる。

先輩の右手だった。恋人繋ぎ。

恥ずかしさが込み上げてきたけど、それ以上に幸せと安心感も感じた。

私もそっと握り返す。先輩がこっちを見ている。

私も先輩を見る。先輩の目はやっぱり綺麗。

その中に自分が映ってる。

電車が過ぎていく前に私は先輩の耳元に顔と近づけ、呟いた。

先輩が驚いた顔で私を見ている。

私だって、自分の行動に少し驚いてる。

でも、これが私の心からの想いなんだ。


――大好き

この四文字の思いがずっと続き、いつか五文字に変わることを心から願っています。
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