おとぎ話と秘密の物語~あべこべ世界で人助けをする事になりました~
「これ、お母様が昔よく読んでくれたやつ」
「え、大切な物じゃないですか。私が触ってもいいんですか……?」
「……? しまってあるより、いいんじゃない?」

 そう言って、シラユキさんは読書を再開します。
 だったらと、私はそっと絵本を開きます。


 ――ある村に一人の少年テルがおりました。
 テルは優しい夫婦の間に生まれ、すくすくと育ちました。
 後の勇者です。

 ある日森の奥で遊んでいると、一人の少年デリックと出会いました。
 しかし、デリックは異形でした。
 人間ではないその姿に、一度は驚きますが、少年はデリックと友達になったのでした。
 この異形の少年が、後の魔王となることも露知らずに。


 ――王道の冒険記のようでした。
 普通だったら、最後魔王は負けて倒されてしまいます。
 それが元友達でも、そういう運命を辿るものです。

 しかし、違いました。
 勇者テルと魔王デリックは、過酷な運命の元、手を取り合うことができないか考えました。
 “仲直り”――できないか、そう思ったのです。
 私はハッとしました。
 まるでこの二人が、シラユキさんとシェルディさんのように見えてきたのです。
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