おとぎ話と秘密の物語~あべこべ世界で人助けをする事になりました~
抜け道で
初めて街へやって来ました。小さく可愛らしい街並みです。
昨日はそのままお城でお世話になったので、お屋敷から見える街を少しだけ見る程度でした。自室となるお部屋も街とは反対側なので、何もかもが新鮮です。
「マルシェだわ!」
目の前に見える屋台を見ながら言いました。
周りから見たら今の私、目がキラキラに輝いているでしょう。
「おや、見慣れない顔だねぇ」
「あっ、パン屋さん」
おば様に声をかけられ、私はそちらを向きました。おば様は、トレーに何種類ものパンを乗っけたまま、手招きをして下さいます。
「美味しそうなブリオッシュですね」
「ふふふっでしょう? ――はい、よければおひとつどうぞ。今回はおばさんからのプレゼントだよ」
「え、いいんですか……?」
「いいよぉ、初めましてのかわいいお嬢さんだもの。ふふ、是非また来てちょうだいね」
包み終わったブリオッシュを差し出され、私は恐る恐る受け取ります。
おば様の優しさに触れ、夢が覚めるまでの間通い続けることを誓いました。
(そういえば夢なのに食事もできちゃうんですよね~)
食事していると錯覚している――という可能性は大いにありえるのですが、あまりにもリアルでやっぱり変な感じです。
「ふふ、パンも頂きましたし……早速海へゴー! ですね」
私はこぶしを突き上げて、やる気を十二分に出します。
「……おや。海へ行くのかい? だったらそこにある一本道を進むと近道だよ」
一部始終を見ているおば様は、指を差して教えてくれます。
指の先を見ると、抜け道になっている細い道がありました。
昨日はそのままお城でお世話になったので、お屋敷から見える街を少しだけ見る程度でした。自室となるお部屋も街とは反対側なので、何もかもが新鮮です。
「マルシェだわ!」
目の前に見える屋台を見ながら言いました。
周りから見たら今の私、目がキラキラに輝いているでしょう。
「おや、見慣れない顔だねぇ」
「あっ、パン屋さん」
おば様に声をかけられ、私はそちらを向きました。おば様は、トレーに何種類ものパンを乗っけたまま、手招きをして下さいます。
「美味しそうなブリオッシュですね」
「ふふふっでしょう? ――はい、よければおひとつどうぞ。今回はおばさんからのプレゼントだよ」
「え、いいんですか……?」
「いいよぉ、初めましてのかわいいお嬢さんだもの。ふふ、是非また来てちょうだいね」
包み終わったブリオッシュを差し出され、私は恐る恐る受け取ります。
おば様の優しさに触れ、夢が覚めるまでの間通い続けることを誓いました。
(そういえば夢なのに食事もできちゃうんですよね~)
食事していると錯覚している――という可能性は大いにありえるのですが、あまりにもリアルでやっぱり変な感じです。
「ふふ、パンも頂きましたし……早速海へゴー! ですね」
私はこぶしを突き上げて、やる気を十二分に出します。
「……おや。海へ行くのかい? だったらそこにある一本道を進むと近道だよ」
一部始終を見ているおば様は、指を差して教えてくれます。
指の先を見ると、抜け道になっている細い道がありました。