おとぎ話と秘密の物語~あべこべ世界で人助けをする事になりました~

拍子抜け

 私はやや急ぎ足で森の中へ向かうと、モランゴさんが道の脇で待っているのが見えました。

「あ、モランゴさん」
「ども~」

 軽いノリで手を振るモランゴさんに私は言いました。

「モランゴさんも一部始終見えているんでしょう? なんで助けに来てくれないんですか……?」
「……“部外者”だから――って答えは嫌だよね」
「………」

 私はやっぱりか……という気持ちになりました。
 ほんと、めんどくさい夢です。

「助けたら意味なくなっちゃうからね」
「チートでもなんでもやってしまえばいいのに……魔法みたいなの使えるんですから」
「それやったら話全部終わっちゃうよ」
「………」

 確かにそれはそうなんですけど……。

「……あ、でも僕にもやれることあるよ」
「――っ! あるんですか!?」
「うん。応援」

 このっ! 一瞬でも期待した私がバカでした……っ!
 このイライラどうしてくれるんですか全く。

「あははっ」
「笑い事ではありません。いくら夢でも一大事だというのに」
「……ごめん、マリアちゃんが怒ってる姿もいいなって」

 私はモランゴさんを睨みつけます。
 モランゴさんは、カルアさんとは違った面倒くささがあるようです。
 私は睨みつけたまま言いました。

「……喧嘩売ってるんですか?」
「まさか」

 モランゴさんは首を振りました。

「……はぁ、もういいです。私はシラユキさんのところへ向かうので、また後で」

 私は会釈をすると、モランゴさんを差し置いて森の中を進んで行きました。
 彼が後ろを着いてくることなく、私とは逆方向へ歩いて行くのを確認すると、少しだけほっとしたのでした。
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