おとぎ話と秘密の物語~あべこべ世界で人助けをする事になりました~
「――シラユキさん」

 私は小屋の程近くまでたどり着くと、お目当ての相手の名前を呼びました。
 辺りは静かですが、いるのは間違いありません。

「連日何ですか……」
「あ、こんにちは。シラユキさん」

 やはり、すぐそばにいたようです。
 とはいえシラユキさんは、少し、いえ……大分嫌そうな顔をしています。
 ですが私は気にせず、やってやるぞの気持ちで話します。

 ……しつこくならないように。

「シラユキさんに伝えに来たんです」
「何を?」
「シェルディさんが仲直りしたがっていたことを」
「………」

 ここは単刀直入に伝えます。
 いいんです。夢ですから、はっきり言った方が伝わります。きっと。
 シラユキさんは、バスケットの中のリンゴを取り出して言いました。

「……アップルパイ作る」
「えっ?」
「だから、アップルパイ」
「それは、わかりますけど……」

 いや、わからないんですけど。
 仲直りの話からどうしてアップルパイの話に……??
 ――はっ、もしかして……シェルディさんへの手土産……?
 って、そんな甘くないですよね。流石に夢でも厳しい世界なのはもう知ってますよ。

「手伝って」
「え、あ……はい?」

 なんか……、一緒にアップルパイを作ることになってしまいました。
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