おとぎ話と秘密の物語~あべこべ世界で人助けをする事になりました~
 部屋に戻り、一人ベッドの上で日記を開きながらお母様のことを思い出しました。
 物心ついた頃から書いていた日記には、沢山のことが記されています。
 日々の出来事、両親の仲のよさに憧れたこと。

 だけど、仲がよかったというのは、ただの偽りでしかなかったのです。

 シュネージュの中で何かが崩れていくのを感じました。

 お母様……、お父様のような立派な人になりたいという夢は、どうやって叶えたらよいのですか?
 偽りでできたお父様のどこを目指せば正解なのですか?

 いいえ――それは目標ではありませんでした。
 シュネージュが目指すべきは、優しく、沢山の愛情を注いでくれたお母様なのでした。

「……へこたれるものか」

 シュネージュは、亡き母の為にも強い男であると誓ったばかりですし、新たな目標もできました。

 そもそも、新しいお母様とシェルディ、二人と家族になるだけではありませんか。
 きっとやっていけます。自分が貴族であることを誇りに持って、堂々と生きればよいのです。
 シュネージュは受け止める覚悟を決めると、日記帳を閉じて眠りにつきました。


 しかし、人生は上手いこといかないものです。
 モヴェーヌはシェルディのことばかり気にかけて、シュネージュのことは放ったらかしでした。
 正確には、日々の稽古をさせてもらうことは疎か、勉強もさせて貰えない環境に転落してしまったのです。
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