おとぎ話と秘密の物語~あべこべ世界で人助けをする事になりました~
 ではシェルディは……?

 シェルディの部屋は幸いにも近くにありました。
 それでも彼の名前を呼ぶことはできませんでした。
 モヴェーヌを止めることができるであろう唯一の存在ではありましたが、シュネージュと同じくまだまだ幼い子供です。そんな彼を巻き込むことはシュネージュにとって抵抗がありました。
 万が一、シェルディさえも同じ目に遭ったらと思うと、気が気ではなかったからです。
 そこには兄弟としての情が生まれていたのでした。

 モヴェーヌは更なる追い打ちをかけるように、シュネージュを痛めつけました。

「私の十年返しなさいよ……っ!! 彼と過ごせなかった十年――私達を孤独にさせた十年をっ!!」

 頭はやられまいとうずくまり、必死に抵抗し続けます。

 痛い、痛い、痛い――!!

 扇子と書物の比ではない痛みと出血から、どんどん意識が遠のいていくのを感じました。

「早く死に――」
「何……やってるの?」

 その時でした。
 シェルディが重たいまぶたを擦りながらやって来たのでした――。
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