おとぎ話と秘密の物語~あべこべ世界で人助けをする事になりました~
「――っ! シェルディ……」

 モヴェーヌは咄嗟に手を止めると、シェルディの方を向いて慌てながら言いました。

「シュネージュが悪いのよ。シュネージュが言いつけを守らないか――」
「嘘でしょ」

 シェルディは、モヴェーヌの言葉を遮るようにして、モヴェーヌとシュネージュを交互に見ました。
 モヴェーヌは額に汗を浮かべながら首を横に振りますが、シェルディは静かに言いました。

「……母様、シュネージュも反省してるって。だから今日はお願い。許してあげて」

 モヴェーヌはシェルディを追い出そうとしますが、シェルディは反対に彼女を部屋から追い出しました。
 身体は小さくとも、力は女性よりもかなりあるように思えました。

 カチャリと鍵を閉めた後、ドンドンと扉を叩く音がしばらく聞こえていましたが、シェルディは気にも留めずに、どこからともなく出した包帯を自慢げに見せびらかします。

「ジャジャーンッ、包帯セット~」

 シェルディはシュネージュの左腕を手に取ると、慣れた手つきで救護作業を行っていきます。

「……凄い慣れてるんだね。小さいのに」
「うん。オレ、向こうにいた時沢山したから。あっちじゃこーんなちっこいガキも、お手伝い感覚で救護班やんないと追いつかなかったの。んで、大人の見てた。だからこういうのは得意」

 戦争の時の話を交えながら、シェルディは淡々と答えました。
 あっという間に身体中の処置が終わり、シュネージュは、包帯でぐるぐる巻きになった左腕をまじまじと見つめます。
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