おとぎ話と秘密の物語~あべこべ世界で人助けをする事になりました~
「オレ、聞こえてたんだ。……普通に、だって……あんな大きな声じゃ、部屋まで聞こえるだろ? だから助けなきゃって……でも、怖かった」
「シェルディ……」
「……悩んでる間に、ネージュの叫び声が聞こえてきて、なんで早く行かなかったんだろって、だから……ごめん。ごめん……っ」

 シェルディは堪えていた涙をぽろぽろと零し始めます。
 シェルディにとって、この国で唯一と言っていい友達――兄弟が血だらけになっている姿を見て気が気ではなかったのです。
 何せ彼はまだ九つです。普通なら、ここまでのことできませんし、よく耐えた方でした。

「ありがと」

 シュネージュはシェルディの頭を撫でました。
 怖くて、痛くて、泣きたい気持ちもシュネージュにはありましたが、そんなことどうでもよくなるほどシェルディが泣いてくれましたから、シュネージュは感謝をしたのでした。

 シュネージュにとって今回の出来事で、更に強くあろうと思いました。
 モヴェーヌに何をやられても、大切だと思える兄弟、仲間がいるのです。
 シェルディと話す機会もパーティー以降なかった為、今まで一人で耐えていました。しかしシェルディが自分の為に動いてくれることがわかった今、屋敷の中に仲間がいるならば、シュネージュはいくらでも我慢できる気がしたのです。

 負けてやるものか。
 お義母様と、信頼できないお父様になんか絶対に負けない。

 シュネージュはこの屋敷で生きていく間、この屋敷のシステムと戦うことにしました。

 ――いずれはお母様に恩返しを……。

 モヴェーヌに一矢報いる為にも、シュネージュは人生計画を立てたのでした。
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