おとぎ話と秘密の物語~あべこべ世界で人助けをする事になりました~
「いいよ、別に」

 しかし、予想に反してシラユキさんはのんびりと、そして過去の事を思い出しながら言いました。

「……シェルディは、あの悪夢から解放してくれた」

 シラユキさんは目を細めると、小さくため息を吐きました。
 やはり答え辛いことだったと、申し訳ない気持ちになりながらも、言葉を待ち続けます。
 シラユキさんは、どうしようもない罪悪感に苛まれながら、

「彼のおかげで逃げられた。それに関しては感謝しかないけど……、耳と尻尾を見る度に、あの日々を思い出す」

 そう言って、髪の毛をいじりました。

 あれだけ前向きだった彼が、死んでしまいたい――そう願ってしまったほどの地獄の日々。
 流れ込んできた情報だけで、私は苦しくて仕方がありませんでした。
 ですが、傷付いた本人はもっと辛くて、私の苦しいという気持ちなんて、わかったフリにしかならないのです。

「だから、シェルディには家にいる時も、フードを被ることを強制させてた。きっと、暑苦しいと思うけど。それでも――シェルディは快く引き受けてくれた」

 シェルディさんは、過去の話からしても気の利く人ではありました。勿論、ここで過ごしている間も、とっても優しくしてくれました。
 そんなシェルディさんは、シラユキさんから見ても命の恩人であり、親切な友達兼腹違いの兄弟です。お母様同様、大切にしたい家族の一人でした。

 しかし――同時に悪魔のような継母の子供でもありました。
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