朱の悪魔×お嬢様
「なっ」
男は馬鹿にされた口調に対し、恐怖も忘れ怒りで頭に血を上らせた。
だが、それも一瞬の事。
冷たく、凍るような目に射竦められる。
ゾクリ、と背筋を寒気が走った。
「…そのお方に触れるなと言っているんだ」
恐怖。畏怖。
男の銃を握る手がカタカタと小刻みに震えているのが銃口をつたって伝わる。
一瞬の瞬き。
目の前に、紅い悪魔は、いなかった。
私のすぐ隣に立っていた。
嬉しそうな顔で
喜色を浮かべた表情で
その手は
男の額に
深く
深く深く
ナイフを突き立てていた。
突き立てたナイフを、ゆっくりと、ギリギリと、顎へと下ろす。
刺したまま。
顔の中心に出来た一本の傷。
その裂けた皮膚から血飛沫が上がる。
背後から血飛沫の上がる音。
凜は頭から男の血を浴びていた。
髪がべっとりと紅く塗れ、血が顔をつたう。
―――気持ち悪い。
男は力を失い、重力に任せて倒れた。
凜は冷めた目で男を見つめる。
そして紅い悪魔へと視線を上げ、問う。
「…何故?」
疑問。
何故、私を助けた?
紅い悪魔はにやりと口元を歪めた。
「偶然ですよ」
この前の戸惑っていた姿が嘘のような飄々とした態度。
「私は、命令に従ったまで。…殺せれば何でも良い」
「じゃあ、何故私を殺さなかったの?」
そこで紅い悪魔の表情が固まる。
男は馬鹿にされた口調に対し、恐怖も忘れ怒りで頭に血を上らせた。
だが、それも一瞬の事。
冷たく、凍るような目に射竦められる。
ゾクリ、と背筋を寒気が走った。
「…そのお方に触れるなと言っているんだ」
恐怖。畏怖。
男の銃を握る手がカタカタと小刻みに震えているのが銃口をつたって伝わる。
一瞬の瞬き。
目の前に、紅い悪魔は、いなかった。
私のすぐ隣に立っていた。
嬉しそうな顔で
喜色を浮かべた表情で
その手は
男の額に
深く
深く深く
ナイフを突き立てていた。
突き立てたナイフを、ゆっくりと、ギリギリと、顎へと下ろす。
刺したまま。
顔の中心に出来た一本の傷。
その裂けた皮膚から血飛沫が上がる。
背後から血飛沫の上がる音。
凜は頭から男の血を浴びていた。
髪がべっとりと紅く塗れ、血が顔をつたう。
―――気持ち悪い。
男は力を失い、重力に任せて倒れた。
凜は冷めた目で男を見つめる。
そして紅い悪魔へと視線を上げ、問う。
「…何故?」
疑問。
何故、私を助けた?
紅い悪魔はにやりと口元を歪めた。
「偶然ですよ」
この前の戸惑っていた姿が嘘のような飄々とした態度。
「私は、命令に従ったまで。…殺せれば何でも良い」
「じゃあ、何故私を殺さなかったの?」
そこで紅い悪魔の表情が固まる。