朱の悪魔×お嬢様

 
 忠誠?


 何?


 この悪魔は、

 何を言っているの?



 状況が理解できず、ただただ混乱するばかりの凜。

 レライエは顔を上げると、また口元に笑みを浮かべていた。

「…もうすぐ、時間だ」

「時間…?」

「主よ、また明日の夜に会いましょう」

 そう言うやいなや、レライエはそのまま気を失ったかのようにその場に倒れた。

 血で赤黒く濡れた床。

 レライエの紅い髪や服が更にその鮮血で紅く染められていく。


 変化は その時。


 レライエの髪が伸びていった。

 まるで生き物のように、少しずつ長くなっていく。

 と同時に生え際から髪が黒く染まっていった。

 黒く、長く。

 そしていつの間にかその顔も変わり、翼は消える。

 別人。

 レライエではない、別の少女が、そこに横たわっていた。

「―――み、く…?」

 自身の口から漏れる呟き。

 美玖が、横たわっていた。
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