剛腕SATな旦那様は身ごもり妻を猛愛で甘やかす~利害一致婚のはずですが~

「悪い。ひとり逃した」
「スーツの男か?」
「ああ。なりふり構わず山の方に逃げていった。こいつらは完全に捨て駒扱いだ」

 鳴海は拘束した真綾を攫った実行犯三人を冷たく一瞥した。

「じきに夜になる。ろくな装備もないんだ。そう遠くへはいけないだろう。応援を待とう」
「そうだな」

 真綾はすっかり放心し、ただふたりの会話に耳を傾けていた。

(あの人は誰だろう?)

 鳴海の同僚だとしても、機動隊食堂では見かけたことがない。
 そう思っていると、男性がこちらに視線を向ける。

「こんなときが初対面ですみませんね。自分は警察学校時代の同期で小石川といいます。もっとわかりやすく言えば鳴海の元相棒です」
「小石川、こいつらを見張ってろ」

 鳴海は素っ気なく、小石川に告げた。
 着ていたワイシャツを脱ぎ、ボタンがいくつも弾け飛び、露になった真綾の胸もとを覆い隠してくれる。

「太陽さん……」

 鳴海は無言で真綾を抱き上げ、そのまま山荘から連れ出した。
 山荘の外にはライトバンの他に、鳴海達が乗ってきたと思しき黒のセダンが停められていた。
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