剛腕SATな旦那様は身ごもり妻を猛愛で甘やかす~利害一致婚のはずですが~

「あの、下ろしてください」

 下ろしてほしいと懇願しても鳴海は応じなかった。
 なんだか怒っているみたいだ。

「ひとりで歩けますから!」

 そう叫ぶとようやく鳴海は真綾を下ろした。
 地面に足がつくなり、彼に背を向ける。
 助けてもらえてホッとすると同時に、迷惑をかけた罪悪感で胸がいっぱいだった。
 こんなことになってしまって、もう妻でいる資格なんてない。

「ごめんなさい。私……」

 とても彼に顔向けできない。

「織恵さんは無事だ。今は所轄署で保護してもらっている。怪我も大したことない」

 真綾は表情を変え、後ろを振り返った。

「よかった」

 織恵の安否を聞いた真綾は顔を覆い思わず涙ぐんだ。

「織恵さんに全部聞いたよ」

 真綾は恐るおそる顔を上げた。
 真正面から見据える鳴海の瞳は、落胆と失望で揺れていた。

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