剛腕SATな旦那様は身ごもり妻を猛愛で甘やかす~利害一致婚のはずですが~

「今どき珍しいぐらいまっすぐな男だな。恥ずかしげもなく大声であんなことを」

 真綾の顔がかあっと熱くなる。父はセダンの中からすべて聞いていたのだ。

「実はな、俺も昔似たようなことを千種に言ったんだ」
「お母さんに?」
「千種は子どもを産むのが難しい身体だった。だから、真綾が無事に生まれたときは本当にうれしくてな。『ふたりを一生守る』と言ったら、うれし泣きしていた」

 父はようやく真綾に向き直った。

「どうしてあの時の気持ちを忘れてたんだろうな」

 憑き物がすべて落ちたような、清々しい表情だった。

「今まで悪かったな、真綾。俺はきっぱりギャンブルから足を洗う。鳴海さんがカウンセラーを紹介してくれるそうだ」

 真綾は自分の耳を疑った。こんな日がやってくるなんて、信じられない。
 "真綾ならきっとどんな道でも進めるよ"
 良心の狭間で揺れていた真綾の覚悟がすっと決まる。
 最後は鳴海が背中を押してくれた。

「私もお父さんを許すよ」

 心を入れ替えた父とともにこれからも人生を歩んでいきたい。
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