剛腕SATな旦那様は身ごもり妻を猛愛で甘やかす~利害一致婚のはずですが~
その後、神崎をはじめとする銀銅鑼ファイナンス幹部は全員逮捕された。
神崎はしばらく山中に潜伏していたらしいが、街に降りてきたところを巡回中の警察官に見つかり、そのまま身柄を拘束されたそうだ。
主犯である神崎逮捕を契機に、芋づる式に悪事がつまびらかにされた。
「鳴海のおかげで、こっちはあと三カ月は忙しい日が続きそうだよ」
事件の後、事情聴取に応じた真綾は小石川からたっぷり鳴海の愚痴をこぼされる羽目になった。
所轄署だけでは到底捌き切れぬ仕事量が突然降って湧いてきたのだから当然だろう。
「今日はすみませんでしたね。妊娠してるっていうのに、わざわざ署までご足労いただいて」
帰り際、小石川はわざわざ警察署の外まで見送りに来てくれた。
「いえ、こちらこそ。私と子どもを助けてくださり、ありがとうございました。あのとき太陽さんと小石川さんが駆けつけてくださらなかったら、今ごろどうなっていたか……」
「市民を守るのは警察官の義務ですから」
彼はなんでもないことのように朗らかに笑った。
「真綾さんは、鳴海が所属する部隊がどういうものかご存知ですよね?」
「それは……」
正直に答えていいものかと迷っていると、小石川が助け舟を出してくれた。
「機動隊食堂で働いていれば、いろいろと見聞きするでしょうし。だいたいの察しはつきますよね」
「はい」
「あなたと結婚して鳴海は少し変わりました。肩の力が抜けて丸くなったみたいだ。責任も多く気を抜けない職場です。これからも鳴海を支えてやってください」
「はい」
そう答えると小石川は右手を三十度に曲げ真綾に敬礼をした。
そして、クルリと踵を返し、警察署内に戻っていった。
こうして彼は今日も残業に追われるのだ。