剛腕SATな旦那様は身ごもり妻を猛愛で甘やかす~利害一致婚のはずですが~
「真綾ちゃんの荷物はそれだけ?」
「はい。あまり荷物は増やさないようにしていたので」
真綾の荷物は中型の段ボール数箱と、ボストンバックのみ。
不要な家具家電をリサイクル業者に引き渡したら、手もとにはこれしか残らなかった。
鳴海も似たり寄ったりで、トラックの荷台は真綾の荷物を積み込んでもなお余裕があった。
狭い独身寮に置いておける荷物には限りがあるためだろう。
「さあ、乗って」
積み込みが終わると、今度は鳴海に助手席に座るように促される。
車に乗り込んだふたりは早速出発した。
引っ越しといっても、さほど距離はない。
新居となるマンションは真綾のアパートから訓練所を挟んで反対側の、比較的新しい住宅街の中に位置している。
安全運転でも二十分とかからなかった。
「外観も素敵ですね」
「うん、真綾ちゃんにも早く見せたかったんだ」
マンションに到着すると、鳴海は自慢げに言った。
黒を基調としたエレガントな外観は、ハイクラスホテルみたいで心が躍る。オートロックを潜り抜けた先にあるエントランスも、広々していて掃除が行き届いていた。
管理人に軽く挨拶したら、四階まではエレベーターに乗る。
長い廊下を最後まで歩き切った先にある一室が今日からふたりの住まいになる。