甘い仮面に騙されない!
重い足を引きずりながら歩いていると、しばらくして住宅街が見えてきた。
奥の突き当たりを右に曲がれば、新しい私の家がある。
北欧風な一軒家は、お洒落で落ちついていて、
16年間小規模マンション暮らしだった私にとってはちょっと……いや、だいぶ贅沢な暮らし。
玄関前に着いて、スクバの中から鍵を取り出す。
「………いませんように」
スマホの時刻を見ると、ちょうど17時を回ったところ。
……この時間はまだ帰ってきてないはず。
確信もって、鍵穴に鍵をさす。
そのまま鍵を回して扉を引こうとした────直後。
「やだ……! 別れないから………っ」