屈辱なほどに 〜憎き男に一途に愛を注がれる夜〜
「ん?聞こえない」


恥ずかしさに身を焦がしながらもなんとか名前を呼んだわたしに対して、阿久津さんはたったひと言放って一蹴する。


でも口角の上がったその表情を見たら、…聞こえている。

聞こえているのに、わざと聞こえないフリをしている。


「ほら、もう一度」


阿久津さんが耳元でささやくから、思わず体が疼いてしまう。


「…もうっ。これ以上、意地悪するのは…やめてください。…恭平さんっ」


わたしが涙目になりながら訴えかけると、見下ろす阿久津さんは喉を鳴らした。


「わかったよ。俺の名前言えたご褒美に、最後に目一杯満たしてやる。心晴にこんな痕をつけた男のことなんて忘れさせるくらいに」


そう言って阿久津さんは一層強くわたしを抱きしめると、ラストスパートをかけた。

頭の中が阿久津さんでいっぱいになって、無我夢中で何度もキスをして、わたしはその夜阿久津さんの愛に溺れた。
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