屈辱なほどに 〜憎き男に一途に愛を注がれる夜〜
「ううん、そんなことないよ。だって、お店は燃えてなくなってしまったし…」


わたしはきゅっと唇を噛みしめる。


「でも、お母さんが退院できるとなるなら、また新しくお店をオープンできるように計画しないとだねっ」


これ以上、阿久津さんの好きにはさせられない。


「…ちょうどよかった。お母さんもそのことで話があったの」

「そうなの?なになにっ?」


わたしがお母さんの顔をのぞき込むと、お母さんは柔らかく微笑んだ。

だけど、その表情はなぜだか切なそう…。


そして、お母さんの視線は病室のドアへと向けられた。


「入ってきてもらえますか?」


お母さんがそう声をかけると、ドアがひとりでにゆっくりと開いた。

そこに現れた人物を見て、わたしは開いた口が塞がらなかった。


「失礼致します」
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