屈辱なほどに 〜憎き男に一途に愛を注がれる夜〜
時間はいつもだいたい決まっているけど、毎日行けているわけではなかった。


なのにどうして阿久津さんは、今日わたしがお見舞いに行くことを知っているの…?


不思議に思ったけど、わたしが尋ねるよりも早く、阿久津さんは会社に向かってしまった。


* * *


「お母さん、きたよっ」


病室のドアを開けると、ベッドから窓の向こうの景色を眺めていたお母さんが振り返った。


「心晴、いらっしゃい」


お母さんの顔色はよさそう。

りんごを向いていると、お母さんの担当の先生がこられた。


そこで告げられた内容は、病状も回復傾向にあるから、そろそろ退院の目処がつきそうだと。

うれしい知らせに、わたしは病室から出ていく先生の背中に深々とお辞儀をした。


「よかったね、お母さん!」

「心晴が代わりにがんばってくれたおかげだよ」
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