屈辱なほどに 〜憎き男に一途に愛を注がれる夜〜
「…へ?」


あまりにも衝撃的な展開に、わたしの口からまぬけな声がもれる。


「すでに契約書にサインはしたわ。もうあの商店街は阿久津さんの会社のものなの」

「えっ…。ちょっと待ってよ…」


すでに立ち退きの契約が交わされている…?

…わたしが知らない間に?


わたしは、ずっと黙ったまま突っ立っているだけの阿久津さんをキッと睨みつける。


「どういうことですか、阿久津さんっ!病気で弱っている母に迫って、無理やり契約書にサインさせたんですか!?」


回り込んで、阿久津さんの腕をつかむ。


「…そう思われても仕方ないよな。生まれ育った街を奪うことになるんだから」


やっぱり阿久津さんは阿久津さんだった。

少しだけわかり合える部分もあるのではと思ったけど、阿久津さんは敵のままだった。
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