屈辱なほどに 〜憎き男に一途に愛を注がれる夜〜
「こんなやり方…ひどいですっ!わたしはなにも聞いていないのにっ…」


守ってきたものが本当になくなったとわかった途端、わたしの目から涙があふれた。


「…奪うためなら手段を選ばないんですね。見損ないました、阿久津さ――」

「違うの、心晴…!立ち退きに合意したいと阿久津さんに申し出たのは…お母さんのほうからなの!」


お母さんのその言葉に、わたしはすぐさま振り返る。


「…なに言ってるの、お母さん!そんなわけ――」

「本当よ。美風商店街やキッチンひだまりのことは大切だったけど、それよりも心晴のことが一番大切だから」

「どうして、今わたしの話なんかに…」


なかなか理解できなかった。

そんなわたしに、お母さんはひとつひとつ丁寧に説明してくれた。



お母さんが立ち退きに合意したのは、すべてはわたしのためだった。
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