屈辱なほどに 〜憎き男に一途に愛を注がれる夜〜
自分が長期で入院することになり、お母さんはわたしの心配ばかりしていた。

1人で無理をして、体を壊さないだろうかと。


実はお父さんが亡くなったのは、病気の発見の遅れが原因だった。

ちょっとした不調はあったけれど、お店のことのほうが大事だからと受診を後回しにして。


そして、今回はお母さん自身が病気に。


このまま、わたし1人にお店を任せることになってしまったら、きっと遅かれ早かれわたしも倒れてしまうと。

それだけは絶対にさせない、させたくない。


だからお母さんは、お店が火事で焼失したことを知って悲しんだものの、これを機にと考えたのだそう。

そのときから、立ち退きについて前向きに阿久津さんと話し合いを重ねていたらしい。


「心晴が、お店を大好きでいてくれてるのは知っているから。でも、体を壊しちゃ元も子もない。阿久津さんのモールで、キッチンひだまりを生まれ変わらせてあげて」
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