屈辱なほどに 〜憎き男に一途に愛を注がれる夜〜
鳥飼さんもいなくなり、突然阿久津さんが話にやってきたのにはそういった経緯があったのだ。


「JOG経由で立ち退きに判を押してもらったところには、改めてお話に伺いました。そうして、すべての店舗さんから再度合意をいただきました」


…そうだったんだ。

阿久津さん、わたしが知らないところでそんなに動き回ってくれて――。


「キッチンひだまりは、きっともっと多くのお客様を虜にする。ですから、ウチの新規モールでぜひとも出店いただきますよう、よろしくお願いします!」


阿久津さんが、わたしに向かって深々と頭を下げた。


…そうまでして、阿久津さんはキッチンひだまりの再スタートを後押ししようとしてくれている。


ずっと敵だと思っていたのに――。

本当は、味方…だったの?


こうして、お母さんの思いと阿久津さんのビジョンを共有したわたしは、美風商店街からの立ち退きに合意したのだった。
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